児玉さや佳の肖像

私はサロンコンサートや本格的なクラシックのコンサート、学校や施設など様々な機会に、即興演奏を行っています。

さや佳は即興演奏の才能のある優秀なピアニストです。

今後、まれなピアニストだけが歩むことのできる芸術家としての新しい道を歩むでしょう。

ガリーナ・ブラチェヴァ




即興とは

私は子供の頃から、楽譜に書いてある音を少し変えて弾いてみる、或いはその日の気分を音にしてみる、という事を一人でやっていました。

そして、音楽高校に通っていた時、「メロディーに即興でいろんな和声(伴奏)を付ける事で、曲の印象を自由に変える事が出来る。例えば・・・」と実践する授業があり、とても興味深く思った事がありました。

和声(伴奏)が変わると、どういう風に感じるかといいますと、今まで「青」だと思っていたものが、少し和声を変える事で「赤」に見えてしまう様な感覚です。

即興演奏との出会い

ガリーナ・ブラチェバと児玉さや佳の即興演奏のレッスン風景

私が即興演奏を始めるきっかけ、即興との出会いは、ドイツ留学中、ガリーナ・ブラチェヴァ先生の即興演奏のセミナーに参加したことです。

ブラチェヴァ先生は、クラシックのピアニストとしては珍しく、演奏会で即興演奏をなさり、また、アムステルダムの音楽大学で即興演奏を教えいていらっしゃいます。

(写真はブラチェバ先生との一枚になります。)

即興演奏ってどうやるの?

『今日、この山の中に来た印象を、何か音にしてみて』

これがブラチェヴァ先生の即興演奏のセミナーでの最初の課題でした。

ルールは何も有りません。

皆、それぞれに印象を音や旋律にしてみました。

一人、或いは数人で、ルール(形式・調性・拍子・主題など)を決めて即興したり、または何も決めずに全く自由に即興しました。

このセミナーの期間は、普段の『楽譜に書いてある音を弾く練習』では無く、ひたすら自然の風景を音にしたり、或いは様々な場面や絵画の印象を音、旋律にしていました。

そして、即興演奏は演奏者の中に有るファンタジーが、その瞬間に音になって現れ、奏でられる楽しい世界なのだと惹きこまれました。

セミナーの修了演奏会では、お客様から「夜想曲」と、お題を頂いて演奏。

昔は音楽家は誰もが即興していたそうですし、偉大な作曲家たちは、それこそ皆が素晴らしい即興演奏をしていたそうです。

ただ、残念ながら今、私たちはその即興で奏でられた演奏を聴く事は出来ず・・・楽譜に書き残された曲を弾くだけとなってしまっていました。

即興演奏のお題

ガリーナ・ブラチェバと児玉さや佳

私は演奏会で、お客様からお題を頂戴し、即興演奏を行っています。

演奏会場でお題を頂戴していると、時に思いもよらないテーマが来ることがあります。

例えば・・・

焼肉、お馬の尻尾、私の1歳の可愛い孫、ダンテの神曲のある部分・・・

いつも、ドキドキしながら楽しませて頂いています。

因みに、これまでで私が一番困ったお題が、小学校でリクエストされた『小島よしお』という題でした。。。

実は、私は(夫も)全くテレビを見ない人で、我が家にはテレビが無い為、小島よしおさんがどんな方か、全然知らなかったのです。

この時は、小学生に『小島よしおさんてどんな方?』と聞いて、小学生が説明(というか、動き?)してくれた印象を即興しました。

『レッスンの友』に即興演奏についてのインタビューが掲載

『レッスンの友』2007年12月号

『レッスンの友』2007年12月号に、即興演奏についてのインタビューが掲載されました。

『レッスンの友』児玉さや佳インタビュー記事

記事では、私の留学生活、そして即興演奏についてが綴られています。

インタビュー記事の内容

『レッスンの友』に掲載された児玉さや佳への即興演奏へのインタビュー

インタビューでは、即興に興味を持ったきっかけなどから聞かれました。

ですが、インタビュアーの方が一番興味を持たれたのは、即興のレッスンについてだった様に思います。

即興のレッスン

『レッスンの友』に掲載された児玉さや佳への即興演奏へのインタビュー

即興のレッスンでは、例えば『ブーレ』、或いは『ガボット』等の課題を出され、その場で即興で作曲しながら演奏していきます。

レッスンで『ジーグ』という課題を出された時に、『ジーグってどんな形式でしたっけ?』とか、或いはブーレとガボットの違いを分かっていないと・・・『無知無学故に受講資格無し!勉強して出直してきなさい!』と、門前払いとなります。

バッハ等のレッスンを通し、沢山ブーレやガボットを弾いてきている日本の音大生の中で、ブーレとガボットの違いを正しく認識している学生がどれ位いる事やら・・・。

『即興演奏は、形式もより深く理解出来る。アムステルダムの音楽大学では、ブラチェバ先生が即興のクラスを持っているが、日本の音楽大学でも取り入れて欲しい!』と話した私に、インタビュアーの方は最大の同意を示して下さいました。

ブラチェバ先生のレッスンでは、先生は生徒の即興演奏を一度聞いただけで、弾いた内容を殆ど覚えてらっしゃり、そして御助言下さいます。

生徒も勿論!自分が弾いたモノを覚えていなければいけませんし、先生から助言を頂戴し、もう一度弾く時は、より良くして弾かなければなりません。

『即興で弾いたモノを、もう一度再現出来るの?』と良く聞かれますが、一度弾いたモノを覚えているというのは、決して難しい事では有りません。

例えるなら、将棋や囲碁等で、棋士の方が自分の指した手を全て覚えていて(或いは指した手を思い出せる)、対局後にもう一度最初から駒や石を並べる事が出来るのと同じ感覚なのだと思います。

もしかすると・・・即興で弾いた曲をもう一度弾くというのも、覚えているというよりは、思い出す作業と言えるかもしれません。

そんな奥深い即興演奏は、私のライフワークとなっています。